探訪・落ちそうな石に集まる信仰 チャイティーヨー・パゴダ 別名 ゴールデン・ロック ミャンマー
ミャンマー中東部の山頂に「鎮座」する、黄金に光り輝く巨大な石。岩の上にのっているのですが、あまりにも不安定! なぜ落ちないのかは「分からない」とのこと、現地では仏の力と信じられているそうです。
ミャンマー中東部、モン州にある標高約1100mのチャイティーヨー山。旧首都ヤンゴンから北東に約150キロ、電車とバスを乗り継ぎ7時間ほどでたどり着く山の頂には、金色に輝く不思議な石が鎮座する。
花崗岩の岩棚の上にのる巨石は高さ7mほど。上には石と同じような高さの円錐形の仏塔(パゴダ)が建つ。この石と仏塔は「チャイティーヨー・パゴダ」と呼ばれ、仏教徒が多数を占めるミャンマーでは仏教聖地のひとつ。別名「ゴールデン・ロック」ともいわれるように、巨石と岩棚の一部には金箔が貼られ、南国の太陽を反射してまばゆい光を放っていた。
巨石が不安定に見えるのは、岩棚が谷側に向かって少し傾斜しているうえ、浅く腰掛けるようにのっているからだろう。しかし、地元では「石が落ちないのは仏塔に納められている仏陀の遺髪がバランスをとっているから」と、信じられている。
山頂一帯が境内で、平日も早朝から家族連れや僧侶の一行が続々と参拝に訪れる。石の近くは女人禁制。女性は少し離れて祈りをささげる。男たちは参拝しながら新たな金箔を貼り付けるなどしていた。ヤンゴンから訪れた僧侶のヴェネ・インタヴァンサさんは「特別な聖なる場所なので何度も訪れている。今回は家族5人でお参りしたので、来世も一緒と信じている」と話す。
石の下をのぞく。岩棚と接する部分は少なく端は浮いていて反対側も見えた。体を押しつけ祈りをささげる巡礼者もいたが動く気配はない。石には多くの伝説が残る。「仏陀が生きていた頃の2500年前から存在する」とか「遺髪を祭るため海底から運び上げた」というものなどだ。
なぜ、石が落ちないのかは分からない。ただ、朝日を浴びて輝く姿には不思議な神々しさを感じる。